EHアンテナの疑問
 いま話題になっているEHアンテナについて実際に製作、調整してみたのですがいくつか疑問点が生じてきました。当局の浅知恵では到底わかるはずもないので
「こんなんかなあ?」と思ったことを勝手に書きましたので、茶のみ話にでもしてください。
1.EMI(電波障害)が無い、少ないというが、シャックのパソコンは暴走するし、画面  は乱れまくりました。どーしてなんだろ?
 「磁界が発生して、90度位相が遅れて電界が発生し、同軸にも伝わって行く」との説明文があるようですが、そもそも電波にとって情報伝達は電界が受け持つようなので、磁界のみなら電波に乗せた送り側の意思が受け手に伝えられないのではないか?説明では、電界が出ないあるいは弱いよう感jの記述になっている。ホントかなあ

 また、ヘルツアンテナでは電界が発生してから磁界は90度遅れて電波の偏波面と直交する面で副次的に必ず発生するというのが常識です。EHアンテナでは、磁界と同相に電界を発生させられるというがホントなあ?

 EHアンテナを使い、室内で送信するとPCの画面がすごく乱れたので屋外に出して送信してみたら良くなったといいたいところだが・・・・・相変わらず、PCの画面はめちゃくちゃでした。

 それでは、アンテナと同軸ケーブル間にコモンモードフィルターを入れてやれ・・とトロイダルコアをEHアンテナの直下に5D-2Vを4t巻いてみました。
 RFIは多少良くなったような気がしますがトロイダルコアが発熱してNGでした。連続運用したらケーブルが燃えそうなので、コアを入れるのをやめました。
室内実験中
屋外にだしてみた。
2.EHアンテナの効率はフルサイズのダイポールの95%とと高効率である。さら   に、ノイズが少なく高S/Nである。とあるが、効率はわからないし、確かに外来  ノイズはアンテナが小さくなったのでかなり静かになりました。しかし、パソコン  のノイズとかの近隣の人口ノイズが増えたように感じました。目的の信号もか  なり落ちたように思います。      なんでかな?
 
 EHアンテナを使って国内局、海外局と聞いてみましたが、フルサイズのダイポールに比べるとやっぱりかなり信号は落ちます。先日のWPXでWHφ、KH6、ZL6、HL、BVと一応EHアンテナでQSOできました。受信信号は、ダイポールで59の信号がEHアンテナでは53から55くらいに落ちました。

 それよりも気になるのが、EHアンテナ近隣の人口雑音を多く拾うことです。「ザー」というPCモニターのホワイトノイズがバンド中で受信できて、アンテナを屋外に出してもノイズの状態は変わりませんでした。同軸ケーブルがシールド線の役をしていない感じがしました。DXの信号が常時S4あるノイズに負けてしまいそうでした。

 EHアンテナの効率は、給電用コイル以外に途中で消費するものがありません。EHアンテナの動作原理はマッチング用のコイルLと、2つのシリンダと空間が形成する容量分Cによる共振回路ですから他にロスが無いのは当たり前ですね。

 でも、共振回路まではロスが無いかも知れませんが空間に効率良く電波を伝達できるか?というとちょっと疑問が生じます。なぜなら、EHアンテナは空間とアンテナの接する面積が波長に対して少なすぎるのです。ダイポールアンテナに電波を受信させられる面積を1とすると、EHアンテナのもつ電波を受けたり、送ったりする面積(俗に言う開口面積のことです。)どれほど取れるのでしょうか? ダイポールに比べて0.1であれば利得は-10dBdということになりますが、もっと小さいように感じました。

 乱暴な試算ですが、ダイポールの長さに比べ、EHアンテナの長さは80分の1くらいになりますので、面積比では6400分の1の面積しかありません。デシベル換算するとEHアンテナの利得は約-38dBdということになります。

 EHアンテナは同軸ケーブルからの電波の輻射の分が開口面積を補助しているとも考えられますし、ダイポールアンテナとの測定場所が多少異なることなどを考え合わせるともう少し差が無くなるのかもしれません。実際に聞いた感じではダイポールアンテナに比べ、EHアンテナは20dB〜30dBのロスというところが実力ではないかと推測されます。
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